ねことらうさぎ

アート、植物、散歩、猫、パン、遠距離介護の合間にあれこれの日々を書いていきます。

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ゲルハルト・リヒター展で想うこと

大きな4枚連作のその作品のまえで、

私は歴史のなかの事実の重みを

ただただ感じ立ち尽くしていました。

 

 

 

ゲルハルト・リヒター

という画家をご存じでしょうか?

 

 

代表作「ビルケナウ」

 

 

日本初公開のその作品にこめられた、

画家としての使命ともいうべきテーマとの向きあいかた。

 

それを感じたいと思い、

私は先日、

ゲルハルト・リヒター展に行ってきたのです。

 

 

ゲルハルト・リヒター展 国立近代美術館(東京竹橋)2022.6.7〜10.2

ゲルハルト・リヒター展は東京・竹橋にある
国立近代美術館で開催されています。

 

 

ゲルハルト・リヒター

1932年ドイツ東部の出身。

ドイツを代表する現代美術家であり、

現代美術史においても重要な作家のひとりです。

 

画家ではありますが、

油彩だけにとどまらず、

写真、デジタルプリント、ガラス、鏡など、

表現方法は多岐にわたります。

 

 

 

 

 

さて、

 

代表作「ビルケナウ」は、

 

ユダヤ強制収容所を主題に描かれた4枚の連作です。

 

ビルケナウ 2014年 油彩、キャンバス

ビルケナウ 2014年 油彩、キャンバス

ビルケナウ展示風景

グレイの鏡 2019年 エナメル、4枚のフロートガラス

 

ドイツ人画家であるリヒターにとって、

ホロコーストを表現することは避けては通れないこととして、

長年、試みては挫折をくりかえしたテーマだということです。

 

そして2014年、

 

リヒターは、

ビルケナウ収容所に収容されていた男性が

ひそかに撮影した4枚の写真をもとに、

キャンバスに模写を描き始めました。

 

ところがすぐに、

 

悲惨な状況のすべてを表現しきれるものではない

 

と、その上から自作の大きな横長のヘラで、

黒、白、赤、緑の絵具を重ねては削ることを何度もくりかえし、

下の模写した絵を覆いかくしてしまったのです。

 

ビルケナウは、

そういった説明がなければ、

ただの抽象画としかみえない作品です。

 

しかし、

タイトルと説明によって、

この抽象画は多くの意味をもつことに成功したように思われます。

 

 

歴史のなかの事実を、

まるで知っているかのように私たちは語ろうとします。

 

それらを知って、

なにかを語らなければいけない

意見をもたなければならない

 

 

そう思い込んでしまっているのかもしれません。

 

 

しかし、

ほとんどの事実を(現在の出来事においても)、

私たちはただ見聞きしているにすぎないのです。

 

そしてそれは、

誰かの意見をコピーしているだけなのかもしれません。

 

たとえその事実を知ったとしても、

すべて語り表現することを

しつくすことは出来ない。。。

 

 

しかしながら、

知ることから目をそむけてはいけない。。。

 

 

ビルケナウという作品を通して、

リヒターはそう語りかけているような気がしました。

 

 

では、私たちは事実を見聞きした時に、

どうすればいいのでしょうか?

 

もちろん、

 

かんたんに答えは出てきません。

 

でも、

たとえば、

 

 

事実をうけとめ、

ただありのままを深く感じること。。。

 

 

深呼吸をして。。。

 

 

情報量の多い現代の私たちは、

 

少し立ち止まって

ゆっくり

感じること

 

 

そろそろ

必要なのかもしれません。。。

 

 

 

 

 

 

 

4900の色彩 2007年 ラッカー、アルディボンド、196枚のパネル

 

アブストラクト・ペインティング 2000年 油彩、キャンバス

 

 

ヨシュア 2016年 油彩、キャンバス



モーターボート 1965年 油彩、キャンバス



8枚のガラス 2012年 8枚のアンテリオ・ガラス、スチール

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

皆さまが健康で、ここちよい日々を過ごされますよう。。。

 

 

 

展覧会の詳しい情報はコチラ↓

国立近代美術館公式サイト

https://www.momat.go.jp/am/exhibition/gerhardrichter/

  

 

ゲルハルト・リヒター展は国立近代美術館のあと、

2022年10月15日〜2023年1月29日

豊田美術館(愛知県)にて開催される予定です。

https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/gr_2022-23/